健康的に美しく! 食事改善でスローエイジング
スローエイジングは最近、注目を集めている言葉で、年を取るスピードを落として、健康寿命を延ばそうというものです。
いつまでも元気で楽しく過ごせるように、スローエイジングを意識した生活を始めませんか?
今回はスローエイジングのための食習慣について紹介します。
目次
1. ゆるやかに美しく老いるための「スローエイジング」
アンチエイジングは知っているけれど、スローエイジングは初耳という人もいるでしょう。
アンチエイジングは抗老化、加齢による身体的な衰えをなるべく小さくして、いつまでも若々しくあることを目指すものです。
対して、スローエイジングは加齢による影響自体は受け入れながら、健康的に年を重ねていこうという考え方になります。
同じ年齢でも、不調が多くて毎日のように病院に行くほかは家にこもりがちの人もいれば、元気に趣味を楽しんでいる人もいます。
この違いはどこにあるのでしょう?
いわゆる年齢、暦年齢はすべての人に共通です。
違うのは、体の年齢、生物学的年齢です。
スローエイジングは、生物学的年齢の進行をゆるめようとするものなのです。
元気に年をとる、美しく老いるための方法といってもいいかもしれません。
2. 歳を取ると太りやすくなるわけ
「40歳を過ぎると、太りやすくなる」と聞いたことはありませんか?
実はこれも老化現象のひとつです。
太ると言うことは、食事で摂取したカロリーを、体を維持するためのエネルギー(基礎代謝)や運動などで消費しきれない状態が続いていること。
その原因のひとつが筋肉量の減少です。
加齢によって筋肉量は減ってしまいます。
そして、脂肪に置き換わってしまうのです。
若くて太っている人は、ほとんどが皮下に脂肪が貯まる「皮下脂肪型肥満」ですが、年を重ねると、内臓の周囲に脂肪が貯まる「内臓脂肪型肥満」が増えてきます。
内臓脂肪型肥満は、高血圧や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病の原因となります。
体形を気にして、ダイエットを意識している人もいるでしょう。
でも、標準体重だから大丈夫と安心するのは早いかも知れません。
40歳を過ぎると、標準体重なのに、体脂肪率が高いという人も多くなっています。
年を重ねても健康でいるためには、内臓脂肪を減らす工夫が大切なのです。
3. スローエイジングのための食習慣
スローエイジングのための食事の基本的な考え方は、活性酸素による酸化の防止、タンパク質の糖化の防止、ホルモン分泌の変化の抑制などです。
具体的には次のようなことを心がけると良いでしょう。
抗酸化物質を含む食材をとる
活性酸素は、食べ物から取り込んだ糖質や脂質をエネルギーに変えるときに発生します。
人間の体には、発生した活性酸素を無害化する酵素を体内で合成できるようになっていますが、その力は加齢とともに衰えてしまいます。
そこで着目したいのが、「抗酸化作用」と呼ばれる、活性酸素を除去してくれる働きを持つ食材。抗酸化作用の含まれる食材をとることで、活性酸素による酸化を抑制することができるのです。
おもな抗酸化物質とそれらを含む食材には次のようなものがあります。
・βカロチン:ニンジンやカボチャといった緑黄色野菜など
・ビタミンC:柑橘類やブロッコリー、小松菜など
・ビタミンE:アーモンドやイワシ、ほうれん草など
・ポリフェノール:赤ワインやココア、緑茶、チョコレート、リンゴ、ブルーベリーなど
・フラボノイド:柑橘類の皮や緑茶、レタス、春菊など
ゆっくり時間をかけて食べる
早食いすると、満腹のサインを受け取る前にたくさんの食事を食べてしまうことになります。
エネルギーのとりすぎは糖化の原因となります。
食事には短くても20分は、時間をかけるようにしましょう。
食事と食事の間はきちんと開ける
十分に間を開けずに食事をとると、吸収された栄養が消費されずに、脂肪として蓄えられてしまいます。
食事は6時間おきにとるのが理想。
少なくとも寝る3時間前には、夕食を終えるようにしましょう。
少し空腹感を感じるぐらいで眠りにつくように心がけてください。
適切な栄養をとる
若返りホルモンと呼ばれるのが「DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」。
性ホルモンの材料になるほか、筋力を保ったり、骨粗鬆症を予防するなどの働きがあると言われています。
ストレスが多い生活をしていると、ストレスホルモンが大量につくられて、DHEAは材料不足に陥ってしまいます。
材料となる栄養を食事でしっかりとることが大切です。
腹八分目を心がける
食べ過ぎは体脂肪の元ですが、一食一食に気をつけすぎるとストレスになりかねません。
1日、1週間単位でカロリーをとりすぎないように工夫しましょう。
野菜を多くとる
野菜に多く含まれる食物繊維は、腸内環境を整えたり、便秘を改善したり、免疫機能を高めたり、食べ過ぎを防いだりする働きを持ち、スローエイジングに重要な要素のひとつです。
とはいえ、菜食主義まで行くと、タンパク質不足に陥って健康を害するリスクが生じます。
具だくさんの味噌汁などの汁物をベースに、夕食の主菜を肉と魚、交互にするなどして、野菜をたっぷりとることを心がけましょう。
野菜は水に入れて加熱することで、効率的に有効な成分を吸収できるようになります。
1日大さじ1杯程度のオリーブオイルをとる
オリーブオイルはポリフェノール、オレイン酸、葉緑素、ビタミンEを含み、高い抗酸化力を持っています。
脳のアンチエイジングや、血管の若さを保つ上でも効果があるとされています。
アメリカのFDA(食品医薬品局)の調査では、エキストラバージンオイルなど、質の良いオリーブオイルを1日に大さじ1杯程度とると良いという結果が得られています。
まとめ
スローエイジングには、食事が大きな役割を持ちます。
バランスの良い三食を規則正しく食べるように心がけましょう。
気をつけたいのが食べ過ぎです。
年齢を重ねると、基礎代謝は下がってきてしまいます。
10代、20代と同じように食べているとエネルギーをとりすぎてしまうのです。エネルギーのとりすぎは、脂肪の元になるだけでなく、タンパク質の糖化を招き、体の老化を進める原因のひとつになります。
でも、糖をとらなければカロリーがおさえられるからと、低炭水化物ダイエットに走るのは避けた方がよいでしょう。
穀物にはファイトケミカルや食物繊維が豊富に含まれているからです。
栄養をバランスよく、適度にとることがスローエイジングの近道なのです。
【参考資料】
逆説! スローエイジング
「40代からの太らない体のつくり方」(満尾正・著/三笠書房)
「見た目は腸が決める」(松生恒夫・著/光文社)
健康長寿ネット