怪しい?こわい? ヒプノセラピーとその効果とは
ヒプノセラピー(催眠療法)は、軽い催眠状態で潜在意識に働きかけ、心理的な問題を改善する補完・代替療法のひとつです。
脳がリラックスした状態で潜在意識に働きかけるため、リラクゼーションや自己実現、トラウマの解消などに役立つと言われています。
有史以前から存在していた療法で、近代では、第二次世界大戦で心を病んだ人たちを短期間で回復させたことで広く知られるようになりました。
ここでは、そんなヒプノセラピーについて詳しくご紹介していきます。
目次
1. ヒプノセラピー(催眠療法)とは
1-1. ヒプノセラピーの歴史は古代エジプトから
1-2. ヒプノセラピーで、深層意識に埋もれた悩みの根本的原因を見つける
1-3. プラスの暗示でマイナス思考からの解放
1-4. ヒプノセラピーの高いリラクゼーション効果
2. ヒプノセラピー(催眠療法)の実践方法
2-1. イメージセラピー
2-2. 暗示療法
2-3. 退行セラピー
2-4. 自己催眠
1. ヒプノセラピーとは
ヒプノセラピーとは、催眠療法のことで、暗示と睡眠の力を使って人間の潜在意識にダイレクトにアクセスし、心に肯定感をもたらすセラピーのことです。
インド系アメリカ人医師のディーパック・チョップラ博士によって科学的に証明されたことで、さらに世に広く認知されることとなりました。
1-1. 歴史は古代エジプトから
実はヒプノセラピーの歴史は古く、古代エジプトやギリシャでは「眠りの寺院」と呼ばれる催眠療法が行われていました。
病院を兼ねた寺院では、詠唱により患者を催眠状態に入らせることでアプローチをし、多くの病気を治療していたのです。
また、中世のフランスでもメスメルという名称でヒプノセラピーが行われるなど、歴史上多くの地域や世代でヒプノセラピーは人々の心に肯定感を与え続けてきました。
1-2. 深層意識に埋もれている悩みの原因を見つける
ヒプノセラピーでは、催眠状態になって深層意識に働きかけることで、悩みの根本的な原因を探ります。
本人も気が付かないうちに、深層意識の深いところに記憶や感情を押し込めているケースは往々にしてあるのです。
セラピー中は、抑圧してしまった記憶や感情に向き合えるようセラピストが誘導し、悩みの原因と真剣に向き合うサポートをします。
1-3. プラス暗示でマイナス思考からの解放
ヒプノセラピーでは、催眠状態でプラス思考へ導き、マイナスの思考にとらわれた心を開放し、考え方や行動、性格などを、より良い方向へ導くことができます。
心の内に秘めた悩みやトラウマに対しても、深層意識に直接プラスの暗示をかけることで、心を苦しめてきたマイナスな思考から解放することができます。
ただし、暗示を受け入れて心を解放するためには、セラピストとの信頼関係が構築されていること、また、本人が暗示を受け入れる心構えができている必要があります。
1-4. 高いリラクゼーション効果
プラスの暗示をすんなりと受け入れられるのは心がリラックスしてため。
しっかり催眠にかかった状態は、心の緊張がほどけています。
ヒプノセラピーで自分の深層意識と向き合うことは大切ですが、不安や緊張を感じた状態では効果を得ることができないのです。
心のバリアを解いて、不安やイライラから離れる体験をすることで、深い安らぎを得ることができます。
2. ヒプノセラピー(催眠療法)の実践方法
ヒプノセラピーの手法は大きく3つに分かれています。
まず、視覚や聴覚などの5感を生かして、成功するイメージを潜在意識に植え付けるイメージセラピー。
2つ目は、繰り返し潜在意識に必要な言葉をかけ、それを現実のこととして捉えさせる暗示療法。
3つ目は記憶を遡ることでネガティブな意識や抑圧された感情の原因を探り、それを開放していくことで肯定感を取り戻していく退行系セラピー。
また、これらの3つのヒプノセラピーとは別に、自分で自分に暗示をかける自己催眠もあります。
以下では、それぞれのセラピーについてもう少し詳しくご紹介していきます。
2-1. イメージセラピー
私たちの心や脳は焦点をあてたものに向かって、それを現実化しようとする傾向があります。
イメージセラピーはその働きを生かして、視覚や聴覚などの5感にそのイメージを植え付けてる方法です。
イメージセラピーは、プロのアスリートのメンタル強化や恐怖症の治療にも使われています。
催眠をかけた状態でリアルで具体的なイメージワークを行います。
イメージセラピーは、不安症などあらゆる症状の改善に効果があると言われています。
2-2. 暗示療法
睡眠状態では人の意識は「無」と呼ばれる状態になっています。
心身ともにリラックスした催眠状態のとき、人は日常で意識している思考よりも、感情やイメージに富んだ潜在意識の方が優位に立っています。
このリラックスした催眠状態のときに、潜在意識に繰り返し暗示の言葉をかけ、それを現実のこととして捉えさせます。
暗示療法は、潜在意識を暗示した内容のイメージで満たし、それに向かって行動させるのに効果的と言われています。
2-3. 退行セラピー
睡眠療法によって、自分自身の過去にさかのぼり、過去の同じシーンを追体験することによって、抱えている問題の軽減や解決の糸口とします。
これにより過去の心の傷や、わだかまりを正したり、親との関係性の改善や和解をすることに効果を発揮すると言われています。
ただ、欧米ではこの退行セラピーによって、心の傷が悪化し症状を重くする事例が指摘されています。
退行セラピーは、必ず信頼のおけるセラピーと安全な状況の中で行うことが大切です。
2-4. 自己催眠
自己催眠とは、みずから自分自身の潜在意識にアクセスして、自分がなりたいイメージや、プラスの言葉をインプットしていく方法です。
ここでは、いちばん気楽で気軽にできる自己催眠をご紹介します。
1. まず、寝る前などリラックスした状態を作ってください。椅子に座っていても、ベッドに横たわっていても、どちらでも構いません。
2. 呼吸に意識を向けて、身体と心がリラックスしてきたら、以下の言葉を10~20回、声に出しても出さなくてもいいので唱えてください。
「毎日、わたしの人生はあらゆる点においてどんどん良くなっている」
3. 唱え終わったらそのまま寝てしまってもOkです。
3. ヒプノセラピーの効果
ヒプノセラピーというと、トラウマの解消や悩みの改善に使われている、というイメージがある方が多いのではないでしょうか。
ヒプノセラピーは、上記に挙げたような効果だけではなく、自信を取り戻す、集中力を高める、創造力を鍛える、という効果もあります。
ただし、効果が出るかどうかは、ご自分が本当に「変わりたい」と強く願っているかどうかに左右されます。
「否定的な考えに支配されている自分を変えたい!」と強く願わなければ、催眠状態にかかることを無意識に拒絶してしまうからです。
ヒプノセラピーは万能ではないので、セラピーを受けたからといって、何もかもが一瞬で解決するというわけではありません。
ご自分が暗示を受け入れることができなければ、効果は表れません。
ヒプノセラピーを受けた後は、考えや行動、習慣をしっかり見直していくことも大切です。
まとめ
いかがでしたか?
「催眠」と聞くと、テレビや映画などのイメージから、怪しい・怖いというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、ヒプノセラピーは科学的にも認められた療法のひとつであり、その効果も実証されています。
ただし、ヒプノセラピーを受けて良かったと思えるためには、良いセラピストを選ぶことが大切です。
セラピストとの信頼関係が重要となりますので、ヒプノセラピーを受ける際は、セラピストのプロフィールやセッションの方針などを必ず確認した上で、ご自分と相性のよいセラピストを選びましょう。
先にご紹介した自己催眠は、ご自分で気軽で簡単にできるものなので、興味のある方はぜひ試してみてください。
何日か試しているうちに、ふと気がついたら、いつもより穏やかになっているご自分がいるかもしれませんよ。