世界でたった一つだけ オリジナル数珠を作ろう!
仏具と言われたら、何を思い浮かべますか?
仏壇や木魚、お坊さんが着ている袈裟などを思い浮かべる人もいるかも知れません。
「そもそも、仏具って何のことだかわからない」という人もいるでしょう。
仏具とは、仏教を修行して、仏教の行事を行うのに必要なものの総称です。
ちょっと縁遠いもののように思うかも知れませんが、実は多くの人が持っている数珠も仏具のひとつです。
今回は知っているようで知らない数珠のことと、オリジナル数珠の作り方を紹介します。
目次
1. 聖徳太子の時代に伝来した数珠
2. 儀式などのときに僧侶が使う「双輪念珠」と一般用の「単念珠」
3. 数珠を取り扱う上での注意点
4. オリジナル数珠を作ろう!
1. 聖徳太子の時代に伝来した数珠
数珠は、お葬式やお墓参りのときなどに手にする仏具です。
個人が持つものになります。
実は数珠には、「念珠」や「寿球」、「珠数」、「念誦」などさまざまな呼び方があります。
これは仏教の宗派によって呼び方や形が変わることがあるためです。
数珠は2世紀から使われ始めたと言われています。
起源にも諸説ありますが、そのひとつを紹介します。
あるとき、お釈迦様の元にある国の使者が来て、「私の国は辺鄙なところにあって、蛮族が襲ってきたり、疫病が流行ったりして困っています。これらを振り払う方法を教えてください」とお願いしました。
お釈迦様は木槵子(むくろじ)という、水につけると石けんのような泡が出て殺菌作用のある木の実108個を貫いて輪を作り、それを手にかけて「仏法僧(ぶっぽうそう)」と100万遍唱えるようにとおっしゃったそうです。
「仏法僧」とは、仏教において3つの宝物=三宝とされる「仏、法、教えを聞く人々(僧)」のことで、これらを敬うようにという意味になります。
なお、木槵子はよくお寺に植えられている木で、羽根つきの羽根の先端にも使われています。
数珠が日本に伝わったのは、聖徳太子の時代です。
仏教とともに伝来してきました。
仏教は元々は国を守るための教えでしたが、鎌倉時代以降は個人の救済に目が向けられるようになり、広く民衆に広がっていきます。
そして、数珠も民衆が手にするようになったのです。
2. 儀式などのときに僧侶が使う「双輪念珠」と一般用の「単念珠」
数珠は大きく2つに分けられます。
ひとつはおもに僧侶が儀式のときに持つ「双輪念珠」、もうひとつがおもに一般の人が持つ「単念珠」(単輪念珠)です。
双輪念珠は僧侶が色衣や黒衣などを身にまとって、儀式を行うときなどに用います。
珠の数は煩悩の数の108個と決まっていますが、使う珠の素材には特別な決まりはありません。
よく使われる珠の素材としては、お釈迦様が菩提樹の木の下で悟りを開かれたという逸話のある菩提樹(星月菩提樹)や縞黒檀、紫檀などの木、翡翠や水晶、虎目石などの石、木槵子などの木の実、琥珀、サンゴなどがあります。
最近では竹を圧縮して作った珠なども使われています。
双輪念珠は長さがあるため、輪の部分を2重にして、左手にかけて使います。
一方、単念珠は僧侶が儀式のとき以外に持ったり、一般の人がお葬式や法事などのときに持ったりするものです。
双輪念珠と異なり、珠の数には決まりはありません。
一般に女性用は紐の先端がぼんぼんになっているものが多く、男性用は紐のタイプが多いのですが、特に決まりはありません。
宗派によって違う場合もあるので、ご自分の宗派に確認しましょう。
また、珠の大きさも男性だから大きなもの、女性は小さなものといった決まりはありません。
手の大きさに合うものを選べばよいでしょう。
ただし、数珠は宗派によって決まり事がある場合があるので、自身の宗派に合うものを選んでください。
3. 数珠を取り扱う上での注意点
数珠は仏具なので、できるだけ丁重に扱いましょう。
畳や床など人が歩く場所に直接置くのは避け、机の上や器の中、敷物を敷いた上などに置くようにしてください。
また、数珠を持たずにお参りに行くのは避けてください。
これは仏様を鷲掴みにするような行為とされています。
なお、数珠は珠が割れるまで使うことができますが、その前に通している紐が劣化して切れてしまう場合があります。
久しぶりに数珠を使うときには紐が弱くなっていないか、確かめてから使いましょう。
紐が切れかけているときには、新しい紐で通し直してください。
4. オリジナル数珠を作ろう!
数珠を作る上で必要になるものは次の5つです。
これらは仏具店などで購入することができます。
①親玉
数珠の輪の中心に置く、T字型に穴が空いた珠です。
必ずひとつ使います。
水晶など透明なものの方が紐が通しやすく、不透明なものは作るのが難しくなります。
仏様を意味するとも言われています。
②ボサ玉
親玉の下に置く珠で、親玉から出てきた紐を束ねて通します。
③主玉
数珠の輪を構成するメインの珠です。
数や大きさに決まりはないので、手の大きさに合わせて輪の大きさを決めて、必要な数を揃えましょう。
ご縁を意味するとも言われています。
④子玉
主玉より小さな珠で、左右対称な位置に1つずつ置きます。
両親を意味するとも言われています。
⑤紐
珠を通す紐は、正絹紐、中糸などがよく使われています。
さまざまな色がありますが、好みのものを選んで大丈夫です。
腕輪数珠などアクセサリー感覚で使えるタイプには、伸縮性のあるゴム紐などが適しています。
基本の作り方
・親玉のT字の下側から紐を入れて、左右どちらかの穴に出します。
・紐に、主玉を数個通してから子玉を1個、通します。
・主玉を数個通して、輪にしたときに左右対称になる位置に子玉を1個通します。
・主玉を左右対称になる個数を通して親玉に戻り、直角に紐を通してT字の下側から出します。
・親玉から出た2本の人もボサ玉に通して、紐が抜けないように結びます。
・数珠には裏表がないので、裏表がないような結び方(2本で結ぶ「つゆ結び」や半分に折った紐を1本足して4本で結ぶ「角組結び」など)で数センチ、結びます。
・左右同じぐらいの長さを残して切ります。房などをつける場合は、切る前につけます。
腕輪念珠の作り方
腕輪数珠にする場合も揃える道具の種類は変わりません。変わるのは主玉の数です。
・輪の大きさをブレスレット程度になるように、主玉の数を減らします。
・また、紐の代わりに伸縮性のあるゴム紐を使います。
・ボサ玉の下で抜けないようにゴム紐を結んだら、適当な長さのところで切ってください。
まとめ
いかがでしたか?
意外と簡単に、お好きな色の玉や紐を組み合わせて世界にひとつしかない念珠を、ご自分で作れてしまうんですね。
ぜひ、ご家族や友人、恋人とオリジナルのお念珠を作ってみるのもおすすめです。
【取材協力】
寺カフェ代官山 浄土真宗本願寺派信行寺 細江乗洸さん
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※寺カフェ代官山はお寺が運営するカフェで、僧侶が駐在しています。腕輪数珠(新紅水晶、新トルコ石、新翡翠の3種類から選べます)を作る講座も行っています。