未来を読み取る学問・易学
易学は、中国の「五経」のうちのひとつである『自然は「陰」と「陽」からできており、陰陽の組み合わせで世界がつくられている』という思想から、個人の未来や世界がどのように変わっていくのかを読み取る占いです。
ここでは、そんな易学について詳しくご紹介していきます。
目次
1. 易学とは?
易とは「変化」を意味する言葉と言われています。
古来の人々は、道具を使って「変化する未来」を読み取ろうとしました。
易学というと、占い師が細長い棒をジャラジャラとすり合わせて1本選び取り、占ってくれるという姿をイメージする方も多いのではないでしょうか?
これは「占筮(せんぜい)」と呼ばれ、易学の中でも一番メジャーな占い方です。
2. 易学の歴史
中国で生まれた易学は、約4000年前に完成したと言われています。
しかし、易の概念は、紀元前12世紀頃にはすでに確立されていました。
殷(いん)王朝の時代に、亀の甲羅を焼いてできたヒビを見て吉凶を占ったのが易学の始まりです。
その後、亀の甲羅が手に入りにくくなったこともあり、筮竹(ぜいちく)と呼ばれる長い竹の棒を使った方法が編み出されました。
現在では、この筮竹から出る数で占う方法が主流です。
易学は、日常生活だけではなく戦争や政治においても重視され、個人から国家に至るまで大きな影響を与えてきました。
古来は、「神の意志を知る」目的で易占いが用いられてきましたが、時代を経てからは、「人間の判断をサポートする」ために使われるように変化していきました。
3. 易学で何がわかるの?
易学では、爻辞(こうじ)と呼ばれる例え話のようなものが書かれていて、それをヒントに「今」の時点でわかる「未来」を示してくれます。
「未来」は「今」をどう過ごすかによって、刻々と変化します。
偶然起こったように見える出来事も、潜在意識によって無自覚に導かれていると易学では考えられています。
心理学者のユングは、易学に触れて「意味のある偶然の一致(シンクロニシティ)」という考えにたどり着きました。
易学には
初筮(しょぜい)は告ぐ。再三は涜(けが)る。涜(けが)るれば告げず
という戒めがあります。
これは、「結果が気に入らないからといって何度も占っては、答えが乱れてしまう」という意味の戒めです。
自分に都合のよい答えだけを受け入れようとすると、天から見放され、正しい結果を見ることができなくなってしまう、そんなメッセージが込められています。
将来に不安があるときこそ、自分の潜在意識が何を求めているのかを理解したうえで、自分自身の行動や思考を変えることが大切なのです。
4. 易で占う
易者さんに見てもらうのが一番手っ取り早い方法ではありますが、実は、自分でも占うことができるのが易学。
占う方法はいくつかありますが、そのなかでも今回は初心者でもすぐできる「略筮法(りゃくぎほう)」の手順をご紹介します。
まずは、占うときに使う道具からご説明していきましょう。
筮竹(ぜいちく)
竹でできた50本の棒で、卦を立てるために使われます。もともとは「蓍(めどぎ)」と呼ばれ、草の茎を用いていたそうです。のちに竹でつくるようになったので、筮竹と呼ばれるようになりました。
算木(さんぎ)
正方形の板に、八卦や陰陽を記したものです。筮竹で出た数を八卦に当てはめることで、占いの結果を示してくれます。
掛肋器(けろくき)
右手で取り分けた筮竹を、載せておくための台です。
筮筒(ぜいとう)
筮竹を立てかけておくために使う、木製の筒です。
略筮法(りゃくぎほう)
大成卦(たいせいか)を得る…出来事の傾向を見る
・50本の筮竹を束ね、左手で筮竹の下部を握ります。
・右手を筮竹の真ん中あたりに添え、額(ひたい)の上にかざします。
占いたいこと強く念じ、深呼吸をします。
・筮竹を1本抜き取ってください。抜き取った筮竹は、筮筒に入れます。
・49本の筮竹を扇状に広げ、半分に分けます。右手に取った筮竹は掛肋器において、その中から1本取り、左手の小指と薬指で挟んでください。
・手に持った筮竹を2本ずつ取り分けることを4回繰り返し、計8本取り分けます。これを繰り返しましょう。
・筮竹が7本以下になったら取り分けるのを止め、小指と薬指の間に挟んでおいた1本を足してください。手元に最大8本、最小1本の筮竹が残りますね。
7で得た象数を算木に写して「上卦」とします。
・この手順をもう一度行って「下卦」を出してください。これで「大成卦」が得られます。
爻位(こうい)を得る…具体的な対処法を見る
・49本の筮竹を半分に分け、右手の中から1本を選んで左手の小指と薬指で挟みます。右手に持っている筮竹の束は、筮筒に入れてください。
・左手に持った筮竹の束を、6本ずつ取り分けていきます。
・5本以下になったら取り分けるのを止め、小指と薬指の間に挟んでおいた1本を足してください。手元には最大6本、最小1本の筮竹が残りましたか?これが「爻位」になります。得た数を算木に写してください。
・すべての手順を終えたら、大成卦と爻位を算木に写して、占いの結果を読み解いてみましょう。
占い結果の見方は、以下のサイトで詳しくご説明されているので、参考にしてみてくださいね
5. もっと手軽に! コインで易学
易学に興味は出てきたけれど、筮竹や算木なんて、持っていない! わざわざそろえるの……?
実は、正式な道具を使うことにこだわる必要はありません。
易学は正式な道具を持っていなくても、サイコロやコインなど、奇数や裏表があるものを使って占うことも可能なのです。
コインで占うことができる易について、以下のサイトで詳しくご紹介されていますので、自分で占ってみたいと思われた方は、ぜひ参考にしてみてください。
コインで占う易については、詳しく紹介してくれている書籍も複数あります。
マーフィーの法則でも有名な、ジョセフ・マーフィー博士の
『マーフィー博士の易占い 運命が不思議なほどわかる本 (王様文庫)』
誰もが使える6枚のコイン(10円玉5枚と100円玉1枚)やサイコロ(八面体を2つと六面体を1つ)で占う方法を推奨している
『すべてがわかる384爻易占い (説話社占い選書5)』
これらの本は比較的わかりやすく、手軽に学ぶことができておすすです。
まとめ
易学は、未来の自分に送られたメッセージを読み取る占いで、あくまでも決定権は自分にあるという考え方が根底にあります。
そのため、金運や恋愛運といった特定の運勢を見て「こうしなさい」と指示することはありません。
決断に悩み、易学で天からのアドバイスをもらったら、そのアドバイスを聞き流すのではなく、そこから自らがどう行動するか、どう意識していくかが、幸運を呼び込む鍵となります。
あまり馴染みのなかった方も、ぜひこの機会に易学の世界に触れてみてください。
【参考資料】
易経.net